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森が育む旨みあふれる山の恵み 原木シイタケのモノがたり

肉厚で風味豊かな原木栽培

面積の96%を山林が占める五木村では、急峻な山々の中腹や谷筋のわずかな平地に、35ほどの小さな集落が点在している。山また山に周りを囲まれたこの地で、村の祖先たちは、木材や木炭だけでなく、山菜やタケノコ、山茶、薬草、野生動物や蜂蜜など、さまざまな山の恵みとともに暮らして来た。

シイタケやヒラタケ、きくらげなど、山に自生する天然のきのこ類もその1つ。明治以降、クヌギやシイの丸太(原木(げんぼく))に、ナタを使ってところどころ傷を付け、天然の胞子を付着させてシイタケを栽培する方法が広がった。戦後になると、シイタケの菌糸を培養した種ゴマと呼ばれる木片を原木に埋め込んで育てる栽培法が主流となり、山の暮らしを支える生業の1つとして定着した。

五木村のシイタケは、すべてこの「原木栽培」と呼ばれる方法で栽培されている。屋内で人工的に温度や湿度を管理し、短期間で収穫できる「菌床栽培」とは違い、原木栽培は自然が相手。収穫まで数年かかり、気温や湿度、天気など自然条件に合わせて育つため、収穫時期をコントロールすることが難しいが、肉厚で食感が良く、豊かな香りと旨みが人気の五木村の特産品だ。

収穫まで2年以上 森の力を頼りに

五木村での原木シイタケ栽培は、山にクヌギを植林するところから始まる。

樹齢15~20年に成長したクヌギを、「七分紅葉」とも呼ばれる秋の初め頃に伐り倒し、そのまま山で約3カ月間乾燥。2月頃、葉が落ちて水分がある程度抜けた木を、長さ1m程度の原木に切り(玉切り)、ドリルでいくつも穴を空け、種ゴマを打ち込む(コマ打ち)。それを、木陰でおよそ1年半寝かせ(仮伏せ)、菌糸が原木全体に広がるのを待つ。菌糸が回った原木は「ホダ木」と呼ばれるようになる。
翌年の秋の初め、仮伏せしていたホダ木を、今度は「ホダ場」と呼ばれるシイタケ栽培場所の近くまで運び、直射日光を避け、風通しが良いよう隙間を空けて組み置く(本伏せ)。その年の気候を見ながら、秋の半ばにホダ場に並べ入れ(ホダ起こし)、ようやく収穫の準備が整う。

秋から春にかけ、気温や湿度など自然条件さえそろえば、同じホダ木から何度もシイタケが発生する。これを3~4年繰り返すうちに、ホダ木は徐々に分解され、最後には土へと還る。原木栽培は、農薬を使わない、循環型の農林業とも言える。
五木村の豊かな森と涼しい気候、適度な湿気は、原木栽培シイタケの生産には好条件。森と自然の力を借りて質の良いシイタケが育ち、生シイタケや乾燥シイタケとして出荷されている。

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