中村さんは3年前、自宅隣に小さな農産加工所を整備した。妻の美華さんと付けた屋号は「山之一」。山の上の小さな集落から日本一のものづくりを目指したい、との願いも込めた。
自家栽培の六片にんにくは、山之一の加工品の中心となる原材料だ。
広がるにんにく加工品づくり
同じように手間をかけて育てても、中には形が小さかったり4片や3片にしか育たなかったにんにくも出てくる。市場に出しても規格外品扱いで二束三文にしかならず、物産館にそのまま出しても見劣りしてなかなか売れずにいた。
そこで美華さんの出番。「規格外」とされるにんにくを上手に活用し、焼肉のたれやガーリックオイル、にんにくチップス、にんにく醤油漬け、ラー油などの加工品づくりに取り組んでいる。
2022年度には、看板商品である「にんにく農家が作った焼肉のたれ」が熊本県農産物加工食品コンクールで金賞と県知事賞を受賞。さらに優良ふるさと食品中央コンクール国産農林産品利用部門で、農林水産大臣官房長賞への入賞を果たした。
「五木産ホワイト六片にんにくの良さを知ってほしい。町の若い世代にも、栄養満点のにんにくをおいしく料理に取り入れてほしい。そう思って開発した商品です。受賞できたのは、ほかの生産者さんや村の人たちの応援があったおかげ。五木産ホワイト六片の知名度を上げるためにも、これから加工品の種類をもっと広げていけたらと思っています」と、美華さんは語る。
豊かなうまみと高い栄養価
六片にんにくは、にんにく特有のにおいや辛味がマイルドで食べやすく、大粒なので皮を剥いたり刻んだりと調理しやすい。火を通せばホクホクした食感で甘みも出る。
にんにくには、疲労回復効果のあるアリシンなどが多く含まれ、高い栄養価がある。生の六片にんにくが道の駅物産館に出荷されるのは、6月下旬から10月頃まで。山之一の加工品のほかにも、にんにく味噌やにんにく胡椒、黒にんにくなど、一年を通して手づくりのにんにく商品が並び、どれも村びとの食卓から生まれた使い勝手の良いものばかり。五木村産ホワイト六片にんにくを手軽にヘルシーに、ぜひおいしく楽しんでみては。